top of page

​Blog : 行政書士の仕事部屋     

 ~ 事務所の中の小さな本棚 ~ 備忘録

 ≫ 老いてなお … 生きるための知恵

  • 山岸 研

#003 ゴーリキイ『どん底』

更新日:1月6日

(岩波文庫:中村白葉 訳より)

「『人間はよりよき者のために生きているのさ! まあ早い話がさ、ここに指物師がいるとして、それがみんな ーー ちりあくたのような人間だ …… ところが、その中から一人の指物師が生まれる …… それまでにだれも見たこともないような、すばらしい指物師が生まれる。それはもう、どんな指物師にも立ちまさって、ほかに肩を並べるものはないくらいだ。それが指物仕事に独特の新しい型を教える …… と、指物仕事が一度に二十年くらいの進歩をする …… ほかのことだってみんなこれとおんなじさ …… 錠前屋だって …… 靴屋だって、そのほかの職人だって …… 百姓だって …… また、だんな衆にしてからが ーー みんなよりよきもののために生きているのだ! 人間はだれでも、自分のために生きているように考えているが、実は、よりよきもののために生きていることになるのだよ!…… 』

……『生きている者はお前さん、みんな、よりよきもののために生きているんだよ!だからこそ、どんな人間でも、尊敬しなけりゃならんのさ …… だって、それがどういう人間で、なんのために生まれて来て、何をしでかすことができるか、それは、わしらにはわかってないんだからね …… ひょっとするとその人は、わしらを幸福にするために生まれて来たのかも、知れないからね!』」


          次の世代へバトンタッチするために、少しでもよりよきものへと進歩するため

          に、ひとは生きている… でも、『よりよきもの』とは何か? なにをもって

          『よし』となすか? その判断さへつかぬ混迷の世に、わたしたちは生きてい

          るような、そんな気がしてならない…。

閲覧数:16回0件のコメント

最新記事

すべて表示

(新潮文庫:神西清 訳より) 「でも、仕方がないわ、生きていかなければ! ね、ワーニャ伯父さん、生きていきましょうよ。長い、はてしないその日その日を、いつ明けるとも知れない夜また夜を、じっと生き通していきましょうね。運命が私たちにくだす試みを、辛抱づよく、じっとこらえて行きましょうね。今のうちも、やがて年をとってからも、片時も休まずに、人のために働きましょうね。そして、やがてその時が来たら、素直に

(新潮文庫より) 「死を恐れもせず、死にあこがれもせずに、自分は人生の下り坂を下って行く」 鷗外は主人公の翁に仮託して、『老い』を、死が待つ人生の下り坂を下ること… と語らせる。決して肯定も否定もしない。ただ、老いとともに切実となる『死への 恐怖』はないと言い放つ。主人公の頭を、心を占めるのは、どうすれば生の内容を 充たすことができるか…ということ。見果てぬ夢・未来の幻影を追い、常に道に迷 い、日

bottom of page